KAT-TUNアルバム「NO MORE PAIN」に感じること

(アルバム感想の日記なのですが、一部、作品に対して残念に思っている内容が含まれます。
 読みたくない方は、読まずにスルーしてくださいね)
                    ◆◇◆◇◆

KAT-TUNファンとして、新アルバム「NO MORE PAIN」を聞く。
聞き込む。

決して感傷的な叫びではなく、
ただ、音楽の事実として、
赤西仁が足りない。
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まるで、
【出汁の入っていない味噌汁】みたいだな、と、思う。
一見、
鮮度の良い具がたくさん入って、
味噌の色も、
これまでと同じ。

だけれど、
口にしたときに明らかに違う、
そこにあったはずの、豊穣な風味。
鼻の奥から胸に抜ける、うっとりするような豊かなイメージ。

それが、
まるっきり、ない。

もし、人生で初めて味噌汁を飲む外国人がいたら、
「味噌汁ってこんなもの」と思うかもしれない。

だけれど、
あの、日本で一番上等な出汁の入った味噌汁は私達の記憶の中にまだはっきりとあって、
だからこそ、
こんな味噌汁、味噌汁じゃない、と、
哀しくなるのだ。

それが、
一見、味噌汁の姿かたちをしているから、余計に。


                    ◆◇◆◇◆


赤西の魅力とは、何か。

「音楽的KAT-TUN研究」というコミュニティを管理していて、
2ndアルバム以降、
そこでずっとKAT-TUNの音楽について語ってきたのだけれど、
結局、
私の結論はこれだ。

【高い音楽性】と、【繊細な表現力】。


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赤西の【高い音楽性】とは何か?

それを説明するのに、「Will Be All Right」をよく例えに出す。

冒頭、
「頑張ってる君の目が世界中に輝いてWill Be All Right変えていく今ここで」
という部分。


ここを普通に歌うと

 【頑張ってる君の目が 世界中に輝いて】
 【Will Be All Right変えていく 今ここで】

と、二つの部分(フレーズ)に分かれてしまい、
そのひとつひとつに盛り上がりの山ができて、
2コブの山になる。
(素人のカラオケだとさらに途中で切れて、4コブの山にもなりかねない)


だが、
赤西が歌うとそこが大きな大きな1つの山(フレーズ)になる。

【頑張ってる君の目が 世界中に輝いて Will Be All Right変えていく 今ここで】

と、
緊張感がずっと続く。


このフレーズ感がたまらないのである。

フレーズ感を出すには、
(1)ロングトーンなど、基本的な歌唱力がある
   (息が短いと続かないから)
(2)フレーズを大きくとらえるセンス (音楽性)
の二つが最低限必要だが、
その両方を備えているのが赤西だ。


【頑張ってる君の目が 世界中に輝いて Will Be All Right変えていく 今ここで】
という長いフレーズが、音楽的に1コブの塊だということを、赤西は音楽的な勘で、しっかりと捉えている。

そして、それを表現しようとしている、表現できている。

赤西の音楽性の証明である。

                    ◆◇◆◇◆

たとえば、
赤西不在の新アルバムで、
バラード「PROMISE SONG」を聞く。

「FARAWAY 離れてる場所で 誰よりも優しく強く 今も
 歌っている あの日と変わらない 途切れない小さなメロディ
 FAREWELL 約束の歌は いつまでも心の奥深くに 響き渡り
 そして歩き出すよ また会える日まで」

大サビの歌詞(これ、この歌にいない赤西を意識して書かれた歌詞と考えていいのかな)(あの、FAREWELL(お別れ)しないでください…)、

5人の歌唱にはKAT-TUNらしいパワーがあるけれど、
そのパワーが分散してしまって、つなぎとめるものがない。

1stアルバムのバラード「PRECIOUS ONE」にあったような、バラードの大サビをまとめあげる、KAT-TUN独特のあのフレーズ感が足りない、どこか素人的に聞こえる。

足りないもの…、
それが、
赤西だったのだ、と気づく。

ソロやハモリだけではない、
ニゾンで、メンバーが全力で歌うそのパワーのある声たちをまとめあげて、ひとつの大きな音楽にしていたのは、
赤西のフレーズ感、赤西が生み出していた音楽的な緊張感であったのではないか。

                    ◆◇◆◇◆

小さいこと。
メンバーに全く非はないのだけれど。

「Going!」のカップリング曲「FALL DOWN」、
サビで「Even if the sky 【fall】 down」と歌っているけれど、
条件を現す副詞節では、未来のことでも現在形が原則なので、
「Even if the sky 【falls】 down」が正解で、
そういう細かい英語のキメの粗さ(ツメの甘さ)が、いわゆる「普通のジャニ曲」みたいで残念。

別に、私は事務所担だし、「I'm so feel!」というトンデモナイ歌詞の「明日に向かって」は、だからこそ間違いなく名曲だと信じているし、
英語が少々間違っていてもアリだと思うのだけれど、

でも、
「俺たちは普通のジャニとは違うんだぜ!」
っていう音楽的(英語の発音を含め)なプライドがギラギラしてるのがKAT-TUNだったと思うので、
それも少し角が取れてしまった感じで残念。

(赤西に引っ張られるようにして、他のメンバーも発音がそれらしくなっていったのが不思議だった。
 KAT-TUNの歌での英語って、かなりいい線だと思う。
 ジャニーズJr達がどんなに真似しても簡単に追いつけない高い壁なんだろうな)

                    ◆◇◆◇◆


とにかく、
【出汁の入っていない味噌汁】みたいだな、と思う。

同じ5人の作品でも、2ndアルバム「cartoon KAT-TUN 2 YOU」は、1stアルバムに比べて楽曲のクオリティーの上がり幅が半端なかったし(SPLASHみたいな楽曲、今回も入れてくれたら良かったのにな)、
「出汁がなくなって、他の素材(5人)の良さや音楽的個性に気づいた」っていう面があったので、十分に楽しめて、心から感動したのだけれど、
この今度のアルバムはちょっと、飲んだら涙がしまう。


赤西が……、
と、
思う。


赤西って、
すごい存在感だから、普段はメインディッシュの牛フィレのように思ってしまうのだけど、
本当のすごさは、その【出汁】としての役割にもあったのだ、と思う。


赤西のいる音楽の風味は豊かで広がりがあって、
それがKAT-TUNの音楽だと思う。

豆腐やニンジンみたいに形が見えないときにも、その作品の中に平等に漂っていて、
作品自体に緊張感を、感動を与えてくれる存在。
味噌汁の良い出汁みたいな。



次のアルバムでは、赤西が参加してくれますように!


                    ◆◇◆◇◆

と、
暗いことばかり言っていても始まらないので、
気を取り直して、曲ごとの感想でも書いてみる♪

いや、
今までのKAT-TUN作品と比べると残念だけど、
普通のジャニアルバムとして聞けば、全然アリだと思うし、
聞いてるうちに好きになってきたよ!


                    ◆◇◆◇◆

01 N.M.P. (NO MORE PAIN)
 LYRICS:MASANCO / SEAN-D
 RAP LYRICS:JOKER
 MUSIC:STEVEN LEE
 ARRANGEMENT:STEVEN LEE /
  YUKIHIDE "YT" TAKIYAMA
 ORCHESTRA ARRANGEMENT:SACHIKO MIYANO

オーケストラから始まる、壮大な始まりの曲!
アルバム曲なのに、なぜかPVまで撮ってもらってる、この幸せ者〜!

ところで竜ちゃん、メイキングで「オーケストラから始まるこういう曲は初めてですから」って言ってたけど、GOLDも路線としてはそうだし、TABOOとかめちゃオーケストラ・アレンジでしたけどw

リード曲だけあって、カッコいい仕上がり!
オーケストラ×加工ボイスっていうミックスもなんか新しくてカッコいい、と思ったら、
アレンジに「Don't U Ever Stop」のYUKIHIDE "YT" TAKIYAMAさんが参加されているんですね!


02 Love yourself 〜君が嫌いな君が好き〜
 LYRICS:ECO
 RAP LYRICS:JOKER
 MUSIC:TATSUGOO
 ARRANGEMENT:TAKU YOSHIOKA


シングル曲。
はぁー、KAT-TUNが本当にKAT-TUNらしい力を出せてる気がする!


03 FARAWAY
 LYRICS:MASANCO
 MUSIC:DYCE TAYLOR / KING OF SLICK
 ARRANGEMENT:KING OF SLICK


柔らかいポップス。
「もし世界のうら離【れても】」の裏声が優しくて心地よいな〜。
素朴な手触りが独特な質感で、「出汁」の赤西不在でも成功してるな、と思える楽曲。


04 THE D-MOTION
 LYRICS:ECO
 ENGLISH LYRICS CO-ORDINATED BY JIN AKANISHI
 MUSIC:OSCAR HOLTER / JAKKE ERIXSON /
  THOMAS HARALDSSON / JUNIOR H JOHANSSON
 ARRANGEMENT:OSCAR HOLTER / JAKKE ERIXSON


これまたシングル曲。
これ、とってもお洒落で楽しくてカッコつけてて、いいよねぇ!
SIGNALの延長上にあって、ちゃんと進化している!

最初、亀・赤西の加工ボイス+聖の加工ラップで始まって、中丸のHBBっていう流れとか(その後で竜ちゃん田口は可愛く踊る、とか)、チームワーク完璧すぎてぶっ倒れそう!


05 RIGHT NOW
 LYRICS:ECO
 RAP LYRICS:JOKER
 MUSIC / ARRANGEMENT:STEVEN LEE

「明日にワンツースリー」(注:実際は「明日にWHAT DO YOU SEE」らしい)とか「俺マリオネット、君マリオネット」とか、
なんかアレンジはテクノなんだけど、ちょいちょい何かがアイドル曲くさくて面白い!


06 ROCKIN' ALL NITE
 LYRICS:MASANCO
 RAP LYRICS:JOKER
 MUSIC:SYNCHRONIZE
 ARRANGEMENT:DREADSTORE COWBOY

70〜80年代風、とか言われちゃいそうなダンスナンバー!
でも、元気が良くて、アゲアゲで、大好き!
曲調も楽しくて、思わず口ずさんでいる!(口ずさめるのは良曲の証)
けど、
こういうナンバーに赤西がいないのが本当に残念っ!


07 Going!
 LYRICS:ECO
 RAP LYRICS:JOKER
 MUSIC:SHUSUI / SAKOSHIN
 ARRANGEMENT:TAKU YOSHIOKA

竜ちゃんが天使のように可愛くて、
みんなのビジュも最高、衣装も良かった、
とかいうことを除けば、
あんまりカツンっぽくなくて、シングル曲としては物足りない感じがしていた曲。

「道は果てしない夢に続く 始まりは一歩踏み出そうLet's Goin'」とか、
爽やかすぎて、他のグループみたいっ!笑

でも、「Goin' Goin' GO 挫折した日々と〜」のとことか好きっ!


08 SWEET (Vo. 亀梨和也)
 LYRICS:N
 MUSIC:TAKASHI OGAWA
 ARRANGEMENT:GYO KITAGAWA

亀ちゃんソロは、ステージで見るのが楽しみっ!
演出込みだと、亀ちゃん楽曲は10倍良くなるからな!
でも、
ワールドツアーではロスマイを歌いますように(念)


09 LOVE MUSIC (Vo. 田口淳之介)
 LYRICS:JUNNOSUKE TAGUCHI
 MUSIC / ARRANGEMENT:NAO
 
「みんなに希望を与えたい」っていうような、
爽やかなアイドルスタンスのじゅんの、大好きっ!
だけど、そのうちサムライ路線もやるべきだと思います!
(楽曲としては、今までのソロより一歩落ちるかな、これが残念というよりは、今までが良すぎたんだ!サムライも小曽根さんも!)


10 MAKE U WET 〜 CHAPTER2 〜 (Vo. 田中 聖)
 LYRICS:JOKER
 MUSIC / ARRANGEMENT:NAO TANAKA

エロすぎる!!!!!!!!笑
どうしてこの曲を歌いたいのか、2時間ぐらい面接したい。

でも、欲望丸出しの聖は、聖らしくて、エネルギーいっぱいで、大好き!
(キスマイキスマイ言ってくれてありがとう)(違)(でも、聖に絡んで腰振る藤ヶ谷が目に浮かぶ)(宮田じゃなくて?)



11 RABBIT OR WOLF? (Vo. 上田竜也)
 LYRICS / MUSIC:TATSUYA UEDA
 ARRANGEMENT:EIJI KAWAI

竜ちゃんっ[m:55][m:47]

竜ちゃんらしい世界観の、伝えたいことがちゃんと伝わってくる楽曲だと思う、
ストーリーも面白いし、ドキリとさせられる!
けど、
最初にライブで聴いちゃったっていうこともあるけど、
ライブのほうが、インパクトのある歌唱ができてた気がするんだよね!
このCDの演奏だと、迫力がいまひとつ足りなくて、「竜ちゃん、もっとデキるのに!」って思っちゃう!
上田竜也は、ライブアルバムを出せばいいと思います!
(まうぴとロミジュのDVDも待ってます)


12 FILM (Vo. 中丸雄一)
 LYRICS:YUICHI NAKAMARU / T-OGA
 MUSIC:KING OF SLICK / MAGNUS FUNEMYR
 ARRANGEMENT:KING OF SLICK


楽曲は「key of life」とかの方が良いメロディだったと思うんだけど、
でも、
そんなこと、どうでもよくなってしまう。
中丸は、ただ中丸であればいい。
そんなことを思わされてしまう、限りなくまっすぐな中丸の声。
剥ぎ取るランジェリー野郎にも負けず、ドラキュラにも狼にも、リベンジするウサギの仲間にも負けず、
「中丸であり続けてくれている」ということの感動。
その声で、
中丸の見える等身大の世界や愛情を歌ってくれる、
ただそれだけで愛しい。


13 PROMISE SONG
 LYRICS / MUSIC:KATSUHIKO KUROSU
 ARRANGEMENT:KAORU OKUBO

バラード曲、
目新しい作風ではないけれど、
心にちゃんと入ってくる美しいメロディ!
ただ、こういう、フレーズにちゃんと力があるような楽曲は、
赤西が加わるともっと美しくなるんだYo!



14 HELLO (ボーナストラック)
 LYRICS:M.U.R. / SEAN-D
 MUSIC:ALFRED TUOHEY / THANH BUI /
  JASON WORTHY
 ARRANGEMENT:JASON WORTHY

SIX SENSESに似てる感じ!(くらっぷくらっぷ言ってるからか)
赤西も好きそうな曲調だな、って思うし、ライブでやったら楽しそう!
(それこそ、スタンディングの会場なんかでやったら、クラブみたいになって素敵そう!)


そんな感じです!

ワールドツアー、楽しんでいきましょう!